夜が明けると
ディルは飛ぶ
愛の言葉と 白い花をもって
クルムのもとへ
夜が明けると
クルムは飛ぶ
愛の歌と 紅い花をもって
ディルのもとへ
夜が明けて
ディルとクルムはいない
けれども 紅い花 白い花は
飛んでゆくよ
ふたりの 夜明けの歌と共に
ディルは飛ぶ
愛の言葉と 白い花をもって
クルムのもとへ
夜が明けると
クルムは飛ぶ
愛の歌と 紅い花をもって
ディルのもとへ
夜が明けて
ディルとクルムはいない
けれども 紅い花 白い花は
飛んでゆくよ
ふたりの 夜明けの歌と共に
<光と影の女王チェーニの5番弟子 エリザベス鳥プップの解説>
『紅い花 白い花』のうたは
13月世に伝わる最も古いうたのひとつです
『チェーニのうた』と同じく この詩も作者不詳であり
同じ頃に制作されたものと推測されています
13月世に伝わる12月世の物語です( —13月世の時祷書より )
12月世に生まれた恋人 ディルとクルムは
朝日が昇ると お互いの想いを伝えるために
手に豆梨の花を持ち 豆梨の木のもとで逢っていました
ある悲劇が起こり 12月世では結ばれなかったふたりは
13月世で美しい2羽の鳥の姿として生まれ
その想いは “伝想花”と呼ばれる空飛ぶ紅い花と白い花となり
今もなお たくさんの想いを伝えるために
13月世の空を飛んでいるのです
伝想花の木 |
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